お人形遊び。
ひんやり冷えた床の感触がする。高価な大理石の磨き込まれた床、格子のはまった美しい窓。
見覚えのない景色と、手足でちゃりちゃりと鳴る硬質な音と、そのすべてに違和感を覚えたルイは、寝起きの気だるさを振り払って辺りを見回した。
「気がついた?」
見知った男がいた。笑っている。ネコ科の猛獣のような、怜悧な瞳でこちらを見据えていた。
その表情に、ルイは、今の自分が、彼の生餌になろうとしているということを、すぐに悟らざるを得なかった。彼は、こちらをじろじろと無遠慮に見つめて、さも可笑しそうに笑う。
「抵抗、しないの? てっきり泣くかと思ったのに」
その言葉に、裸身にされた体だけでも隠そうとしたが、ほとんど意味をなさなかった。羞恥で赤く染まる真っ白い頬をうっとり眺めながら、男はため息をついた。
「やっぱり、お前はかわいいね」
笑う瞳に、狂気がにじんでいた。いつも自分にひどく甘いこのひとは、こうして巧妙な罠を張り、自分を捕らえることに成功した――。
ルイは、どうすることもできなかった。力の差は歴然としていて、今の今まで、彼が行動を起こさなかったのも、ただ遊んでいただけとも言える。
「やっぱり、泣かないんだね。いいよ」
ふと、彼がこちらの前で動きを止めた。白い肌を冷たい指が這う。
興奮した息遣いが白く染まっていた。
「泣かせてあげる」
アーノルド・ガートラントは、念願の、彼だけの人形を手に入れた。
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ほおっておくとこのふたりはこういう√になるので、いつもなるべくアホな展開にしています。
それにしてもガチヤンデレアーノルドって変態だし狂ってるしで恐ろしいですね!
ツイッターで創作監禁TLなのかと勘違いして、プライベッターで1時間ほどで書きました。